満ちては欠ける夜空のお月様は、29.5日をかけて地球のまわりを一周している、私たち人間にとって最も親密な天体です。珊瑚やウミガメが満月に産卵することや、女性の生理周期が月の周期と同じ29.5日であるなど、地球の生き物にとって月の満ち欠けは、生命の営みとシンクロしながら刻まれる「いのちのリズム」です。また、月による1日は24時間50分であり、これは太陽による明暗変化や時計がない状態での、人間の体内時計による1日とほぼ一致します。
明治3年にグレゴリオ暦が導入されるまでは、私たち日本人は、新月を迎えるごとに月が変わる旧暦、つまり月の暦で生活していました。より自然に寄り添った暮らしをしていた昔の人々は、バイオリズムが月とともにあることを感覚的に理解していたのでしょうか。
新月期は、
エネルギーを蓄える
リセットタイム
月の力を借りてお産をし、月が知らせる暦で種を蒔き、自然の恵みに祈りを捧げてきた私たちの祖先。その叡智は今、さまざまなかたちで掘り起こされ見直され、ひもとかれ、再構築されて現代生活へと取り入れられています。例えば「新月伐採」という考え方。冬の新月期を選んで樹木を伐採することで、アミノ酸や水分の含有量が少ないため、カビ・虫に侵されにくく、割れ、暴れ、くるいが出にくい優秀な木材ができると言われています。これは「木が眠っている」ときに伐採するのが当たり前だった日本の林業の叡智です。月の満ち欠けが新しいサイクルに入る新月は、月のサイクルにおいて、闇につつまれ草木も眠る静かな「夜」にあたります。夜はリセットの時。余計なものを放出・排出し、エネルギーをたくわえ、活動期に備える沈静の時間なのです。
満ち引きで姿を変える海
体内に海を抱いて
生きる人間
月のリズムとともにある自然現象の中で、もっとも身近なものが海の潮汐(満ち引き)です。月の光っていない部分は地球の影であり、太陽と地球と月の位置関係が月の満ち欠けをつくります。この位置関係によって、太陽と月の引力が地球を引っ張る方向が毎日変わるため、「大潮」と呼ばれる潮の干満が激しいときもあれば「小潮」と呼ばれ干満が少ないときもあります。その影響はたいへん大きく、広島の厳島神社のように、満潮時と干潮時では、別の場所かのように風景が様変わりするほどです。
そのような海を、人間は体内に抱いて生きています。人間の体内は成人であれば60%以上が水分といわれています。また、その組成は海水と近く、代替することすら可能という実験結果もあります。主成分であるナトリウムの濃度は0.9%程度で、現代の海よりも、むしろ太古の海と似ています。これは、生命の進化の過程で海から陸へと上がったときに、それまで身体をとりまいていた環境を体内に残したためだと考えられています。わたしたちは今も、母なる海とともに生きているのです。
新月の海の塩で
毎日リセット
月が知らせるいのちのリズムに耳を傾けることは、体内に抱いている母なる海に耳を傾けることでもあります。私たちをとりまく宇宙や地球、自然と、日々の暮らしを調和させることで、おのずと心と体のリズムが整い、バランスを取り戻すことができる。禊月-KEIGETSU-は、そのためのツールとして、新月の日に海からいただいた塩をバスタイムに取り入れることで毎日身体を清め、リセットする時間を持つことをご提案します。
たとえそれが本来のいのちのリズムであったとしても、旧暦で生きるわけにも、1日を25時間で生きるわけにもいかない現代生活。だからこそ、毎晩のバスタイムに新月の排出・放出のエネルギーを取り入れて月のリズムと歩調を合わせ、チューニングをしながら暮らすことが、かけがえのない毎日を自分らしく丁寧に生きるうえで、大切なことだと考えます。